第1回食の文化研究会レポート(その1:土井先生)

こんにちは。文化構想学部複合文化論系の山本です。

遅くなりましたが、2009年4月18日(土)に開催されました、第1回食の文化研究会のレポートをupいたします。

まず、今回のプログラムは次のとおり。

第1回テーマ:「食と文化的アイデンティティを問う」

基調報告とディスカッション(16:30~18:00)

  1. 土井 善晴(おいしいもの研究所代表)
    テーマ:「自然に発する日本の食文化」
  2. 渡辺 万里(スペイン料理文化アカデミー主宰)
    テーマ:「カトリック王国としてのスペインの食」
  3. 神末 武彦(共栄大学国際経営学部准教授)
    テーマ:「食文化と観光――日本のパッケージツアーから検証する日本人の食文化への関心――」

初めての研究会ということもあり、第1回の統一テーマを広く設定することにしました。

酒井先生から会の趣旨について説明があった後、土井先生の基調報告から会はスタートしました。

土井先生基調報告

普段TVで拝見していたとおりの、とてもお優しい語り口で、土井先生のお話が始まりました。

土井先生はまず、女性の解放等を背景に家の仕事が守られなくなったこと、そしてそれによって食の伝達が断たれつつある現状に言及されました。次に、作家の司馬遼太郎先生のエピソードなども交えられ、かつては家庭料理と料理屋の料理とを分けて考える発想が根強かったことなどを紹介していただきました。その上で、日本の文化に伝統的にみられる「自然との共存」に立ち返ってみる、という構成のお話であったように思います。

日本料理の特質、それは「素材を生かす」ということにあります。例えば桃をむいてまるごと出すことなどもそうです。「1つ」のものに注目すること、あるいはただ茹でる、蒸す、それだけで楽しみがめぐってくるのです。

現在は濃いソースや油の多用される食生活が一般化していますが、かつては裕福な家庭以外では、油は使われていませんでした。油のない調理法は、素材の味を際立たせるものでありました。素材の味と言うのは、「川のせせらぎや鳥のさえずりのように、耳を澄まさなければきこえてこないようなもの」なのです。

私たちは土井先生のお話から、かつての日本料理の繊細な豊かさに思いを馳せたのでした。

まさに日本における「食の文化的アイデンティティ」を真正面から問うお話であったように思います。

(山本 恵子)

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