第1回食の文化研究会レポート(その3:神末先生)

最後は、神末先生の基調報告:「食文化と観光――日本のパッケージツアーから検証する日本人の食文化への関心――」です。

神末先生は、「ツーリズム」と「ホスピタリティ」の専門家でいらっしゃいます。

今日は、とくにツーリズムの観点から、お話をいただきました。

国民生活による世論調査によれば、レジャー、余暇要求、食生活への日本人の関心の高さが浮かび上がってきます。また近年、日本人海外旅行者の楽しみに食事が大きなウエイトを占めるようになりました。

イタリアのパックツアーにおける食事はどうなっているのでしょうか。イメージでは、パスタ・ピザ、スイーツではティラミス、パンナコッタ、ジェラートなどが挙げられます。

実は、かつては広く浅いものだった外国の食文化への関心から、近年ではより詳細な知識を求める傾向へと変化しているようです。

例えば旅行パンフレットの記載も変化し、以前は「名物料理・田舎料理」としか書かれていなかったのが、最近では具体的な名前が記載されるようになりました。他にも、レストランを指定するなど、細かい設定が求められるようになっています。

また昔のツアーの食事には日本食や中華がかなり入っていましたが、今は旅行先の国の食事が中心になったそうです。

さらにトレンドとしては、スローフードの影響や、体験型の「アグリツーリズム」などもみられるようになっています。

なおここでは詳しく紹介できませんでしたが、神末先生のご報告では、統計的観点から多くの現代の食文化の状況を知ることができました。

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最後に、ディスカッションの時間を設け、3人の先生方に他の先生のお話について、さらに展開していただきました。

ディスカッサントの山本からは、一見ばらならなテーマに思われる3人の先生方のお話から浮き彫りになってくる「自然」という問題について、お話をいただくことにいたしました。(例えば、スペインにおいて、「自然」を感じさせる食べ物とは何か?など。)

渡辺先生と神末先生のディスカッション風景

お話は多岐にわたったため、とても書ききれないのですが、大変活発な会話のキャッチボールが行われました。ちなみに、先のスペインにおける自然という問題では、スペイン料理においては日本ほどには旬、つまり季節ごとの食べ物を食べることを大事にするという意識は少ないかもしれないけれど、季節感を大事にするシェフの例などをお話をしていただいたのでした。

会の後は先生方を囲んでの茶話会となりました。

(山本 恵子)

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