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第二回講演会報告(鮒佐 大野佐吉先生)
こんにちは。山本です。
ご報告が遅くなりました。大野先生による第二回講演会(伝統料理(佃煮))、
無事、盛況のうちに終わりました。
前々回のブログでは、二回目のご訪問の報告をいたしておりましたが、
その後、講演の2日前にもう一度、鮒佐さんのところに行かせていただき、
講演会の流れを詰めさせていただきました。
計三回のご訪問を経て、(ちなみにおそらく土井先生はもっとご訪問されていらっしゃいます)
いよいよ、当日を迎えました。
第二回も100人を超えるご参加をいただきました。本当にありがとうございます。
また今回は、立命館大学の海老久美子先生にもお越しいただくことができました。
栄養学がご専門で、甲子園の球児たちや先の北京オリンピックの選手のアドバイザーとしてもご活躍されていらっしゃいます。講演会でもとてもわかりやすい例を用いてお話くださいました。
さて、当日は以下の流れで進行いたしました。
1.講演者・コメンテーターのご紹介
2.講演会趣旨説明
3.取材ビデオ上映(薪の音、かまどの音)
4.島崎さん(学生質問者)による取材報告プレゼンテーション
島崎さんが取材時に感じたことを質問しながら、
大野先生に答えていただくという形で、進めていきました。
また途中で随時、土井先生に各トピックについてプリントの説明をしていただきつつ、渡辺先生、酒井先生、海老先生にコメントをいただきました。
(1)鮒佐の創業
→佃煮の由来
→「なぜ元々は、醤油でなく塩だったのか」
→代々同じ名前「大野佐吉」を継いでいる
→「名を継ぐことによりどのような心境の変化があったのか」
(2)かまどを使うこと
(3)佃煮ができるまで
1)たれ作りは【味を壊すこと・味を戻すこと】である
2)煮かごの説明
3)季節によって、作るプロセスや素材に違いはあるのか?
①プロセス:昔はあったが、今は空調が整っている(汗をかかない)ので、
その点での違いは少ない。
②素材:江戸前に旬がなくなった(昭和46年漁業権の全面放棄)
4)なぜ【味見をしない】のか?
⇒火加減、しょうゆ、たれを入れるタイミングなどはどのようにはかられているのか?
5)「江戸前のおいしさ」はどのように形成されているのか?江戸前のおいしさとは?
(4)薪の種類
(5)なべ、道具の由来と現状
また、途中で、実際に試食もしていただきました。
(大野先生のご好意でお持ちいただきました。本当にありがとうございます。)
(6)→なぜ、しょっぱいのか?(江戸と西の違い)
→今はそんなに塩を取る必要がないとすれば、
食べる側の変化にあわせなければならないのか?
これからも伝統を守り続けていくのか?
⇒「あわせるところ」と「あわせてはいけないところ」がある
(7)完成品と包みの写真
⇒包装紙の由来等 版画:昭和30年代のもの
黄色い部分:佃煮の種類(豊富)
5.フロアから質問
「どこのお醤油を使っているのか」等、たくさんの(赤裸々な)ご質問をいただき、盛り上がりました。
6.コメンテーターの先生方からのコメント:土井先生、海老先生、渡辺先生、酒井先生
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今回個人的に印象に残りましたのは、4)なぜ【味見をしない】のか?の部分です。
味見は、大野先生の体調(コンディション)によってぶれが生じることがあるそうです。
ですので、似ているときの泡の状態で、薪の量などを調整されるとのこと。
つまり「見て判断する」要素がいちばん大きいということです。
島崎さんの質問「なぜ蛍光灯ではなく白熱灯を使うのか」もこれに関連していて、
理由は、「蛍光灯に変えてしまったら、色が変わってしまって判断に支障が出るから」だそうです。昔から使っている白熱灯でなければだめなのだそうです。
そんなところにまで、しっかり理由があるのです!!
この点につきましては、さらに酒井先生からフォローがあり、西洋哲学・美学における視覚と聴覚の優位についてご説明がありました。
会場には大野先生のご家族もいらしていただきました。
取材中には奥様、お母様にも大変お世話になりました。
また、大野先生のかわいらしいお嬢様、そして
「未来の大野佐吉」さんになられる(予定の)息子さんにも
お会いすることができました。
講演会のプレゼンテーションでは、
カメラマン 鍋島さんのお写真を使用させていただきました。
とても素晴らしい、迫力あるお写真の数々でした。鍋島さん、ありがとうございました。
また、土井先生のお話のプリントがご参加いただいた皆様に大変好評でしたので、
次回もまたお配りしたいと考えております。
土井先生、お忙しい中本当に講演会にお心を尽くしてくださってありがとうございます。
大野先生のお話には、本当に胸をうたれました。
お仕事に対する誠実な姿勢、また先生のお人柄は、どんな職業にある者にも通じる、学ぶべきものであると思います。
同時に、伝統を伝えていくという特殊なお仕事の面白さや難しさ、大変さの一端を垣間見ることもできました。
また、今回、本来は立ち入れない作業場で取材をさせていただきましたことにもお礼を申し上げたいと思います。大野先生をはじめ、コメンテーターの先生方、島崎さん、お手伝いいただきました助手、TAのみなさん、そしてご参加いただきましたみなさん、お疲れ様でした。